スキー・スノーボードのチューンナップ
間もなく本格的なウインターシーズンですね!皆さんはスキー・スノーボードのチューンナップはもうしましたか?
お店で出している人や詳しい友達にやってもらっている人、中には自分でやっているような猛者もいるかもしれませんね。
そんなチューンナップに関して今日はショップ店員、イントラを経て、現役のプロスノーボーダーとして活動している自分なりの考えを今日は綴ってみようと思います。
もくじ
新品でもチューンナップは必要?
さて、皆さんは「新品のスキーやスノーボード」をどういう風に認識していますでしょうか?
新品だからすぐ使えると思ってませんか?
まぁ、物理的には可能ですし、最近の国産メーカーだと「工場でチューンしてあるので必要ありません」なんて書いてあるのもあるとかないとか...(チューン屋に喧嘩売ってますよね...笑)
しかし、なにもしてないボードって素材でしかないんです。
最近はある程度工場で手をいれてくれるところも増えてきてますし、高い板はやっぱりそれなりに乗りやすいです。
でも、せっかく安くはないお金を出して板を買うのであれば、適切な調律(チューンナップ)をして、そのポテンシャルを最大限引き出してあげるのも大事なんじゃないかな~と思います。
その素材、活かせてますか?
誤解を恐れずに書くと、買ったばかりのボードは料理でいうところの「生肉」のような状態です。
もちろん素材がよければそのまま食べられなくもない(使えなくもない)けども、素材に合わせた適切な下ごしらえ(滑走面の研磨やエッジの調律)をし、個個人に合わせた調理(ベースメイク、エッジの研磨)をして、その日のコンディションに合わせた味付け(ワクシング)をしていく。
この過程をすべて行って初めてスノーボードの真価が発揮されるのではないかと個人的には思っています。
もちろん、個人がこれらの作業を行うこともできます。滑走面の下地作りやエッジの研磨も少し勉強と練習をすればできますし、雪質に合わせたワクシングなんかは毎回プロに頼むことは難しいですよね。
ただ、滑走面の研磨や最初のエッジの角度の調整なんかは失敗すると大切な板を台無しにしかねないし、『素材に合わせた』なんて調整はプロの領域ですから普通の人ができるものではないです。
そこで出てくるのが「サービンマン」と呼ばれるチューンナップのプロたちとチューンナップショップです。
『サービスマン』の仕事
サービスマン呼ばれる職人さんは上記のようなチューンナップを生業としている人たちですが、よく聞かれるのが「チューンナップって実際何してるの?」って質問なんだそうです。
ただ、ここまで読んでくれた人はもう分かってると思いますが何をするかは『素材の状態による』んですよね。
機械化された工場だと一律の行程でマシンを通すだけなので5,000円くらいでやってくれるところもありますが、実際のスノーボードは木材を使っているので均質ではありません。
フレックスに個体差があるのは割と有名ですが、それこそボードの重量ですら微妙に個体差があるくらいですからね。
当然、研磨すべき滑走面の状態も千差万別なわけです。
それを見極めて『どこをどれくらい削ればい最適なバランスになるのか?』を考えた上で作業をしていくのがベテランのサービスマンであり、チューンナップの質を左右する技術でもあります。
チューンナップは一回1万円以上するのも少なくないですが、その値段には一本一本の板と真剣に向き合い、状態に合わせた最適解を探す職人のプライドと技術が詰まっているわけです。
あなたはどんな料理を食べたいか?
板とチューンの関係を先程は肉と調理に例えましたが、最終的にチューンナップは食事と一緒で、『それにいくらまでお金をかけられるか?』というところで選ぶべき選択肢が変わって来ると思います。
競技のプロとしてやっている一部のアスリートを除けば、スキーやスノーボードは趣味やレジャーでしかないと思うので、そこにかけられる時間やお金は人それぞれだと思いますし、その中で『何に重きをおくのか』というのも人それぞれだと思います。
ただ、個人的にはパウダーで板が走らずに埋もれてしまったり、せっかく行ったスキー場で板が走らなかったり、雪がソールについてしまって滑れない!なんていうことは不要なストレスでしかないと思います。
高い国産の板を買ってチューンナップしないよりは、少し安い板を買ってでもチューンナップをした方が快適にスノーボードが楽しめるのではないでしょうか?
チューンコースや業者に関しても、ファストフードのような一回3,000~5,000円のチューンも、職人の手作業による一回2万円近いチューンナップもそれぞれのメリット、デメリットがありますので、大事なのは
メリットやデメリットを理解した上で『誰の』『どんな』チューンを自分の大事なボードに施してもらうか
というところなのではないかと思います。
自分はどうしているかという話
こういう記事を書くからには落とし所は必要だと思うので、〆は自分はどうしているか?ということを書きたいと思います。
そもそも自分は昔某量販店でバイトしたり、イントラとして長年指導をしてきたり、今も競技者としてプロを名乗ったりしているわけですが、実のところチューンナップに関しては全くの素人に近いです(笑)
というのもお世話になっているお店ではかなり丁寧にチューンをしてくれるので、自分でチューン技術を習得するのにかかる時間や、シーズン前にベースメイクなどをきっちりとやるのにかかる時間や手間を考えるとプロに依頼した方が圧倒的にいい結果(=完璧な仕上り)になるのでほぼまかせっきりにしてしまっているのです...(技術的なことを書くのを期待してた方はごめんなさい!)
QUESTという選択肢
ちなみに、いつもお願いしているのはQUEST Board Tune Up(栃木県小山市)なのですが、このお店では通常の機械化している滑走面のサンディングも全て手作業というこだわりぶり。
当然、こなせる量は圧倒的に少なくなってしまいますし、アシスタント等も雇っていないので全てのボードをオーナー自ら仕上げなければいけないという職人のお店です。
未だに海外のナショナルチームからサービスマンとしてオファーが来るほどの技術力にもかかわらず、『労力に対して儲からなすぎでは?!』と要らぬ心配をしたくなるほど、一本一本のスキーやボード、そしてその乗り手に対して真摯に向き合うのがQUEST流の職人魂。
シーズン中はちょっとした道具の不調に対する調整や滑りのアドバイス、試合前のワックスアドバイス、そして柏崎さん本人が試合を見に現地に来た場合は直接的なワックスサービスまで…QUESTのチューン以外の部分も含めてのチューンナップ価格(だと個人的には思っている)なので個人的にはむしろ『安い』と感じています。
もしこの記事を読んで少しでもクエストのチューンナップに興味を持っていただけたら是非メールなどでお問い合わせをしてみてください。
スノーボード雑誌などに全く広告を出していないにも関わらず、日本全国からチューンナップの依頼が絶えない秘密がきっとわかるはずです。
QUESTが製作している環境にも配慮したKashiwaxもユーザーのことや環境のことを考えたスキー・スノーボード用のワックスです。
是非見てみてくださいね!
それでは今日はこの辺で、また次回!
Ogi